それが僕らの生きる道 +あるふぁ


「そういえば」
絶命した魔物から刃を慎重に引き抜きながらフッチがサスケに話しかける。
「僕、『さとうきび』ってどういうのだか実は知らないんだよね。サスケは?」
「お、俺か?」
思ってもみなかったことを問われ、サスケは動揺する。改めて言われてみれば、彼もそれが砂糖の原料となり南で育つという以上を知らなかった。
けれどもここで正直に知らないと言ってしまうのもなんだか悔しい。
さとうきび。さとうきびだろ、さとう、きび。
あやしげな呪文のごとくに繰り返し、サスケは地面に落ちていた棒を拾った。
「おう、たしかこんなのだ」
なかなか器用に絵を描いていく。
頭を重たそうに垂らした植物。その絵柄をフッチは尋ねた。
「麦?」
「いや、きびだ。さとうきびなんだからな」
「へえ、こんなのなんだ。僕、売られている実しか知らなかったから」
「まあな。ロッカクの里ではよく育ててたぜ。で、さとうきびはもっと南でとれるきびの一種でさ」
サスケはすらすらと説明した。
「穂の中身が全部砂糖なんだよ。これを刈り取って脱穀するといつも見ている『砂糖』になるんだぜ」
「へえ、すごいやサスケ。意外と物知りなんだね!」
……感心したフッチが真実を知る日は遠い。




***
書きたかったのは俳句を読むサスケ。
梶さまのすばらしい本編にこっそり蛇足をつけてしまいました。








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